(241)愛されちゃって,マフィア[ジョナサン・デミ監督](DVD)
以前は画面がTVサイズのLDで観た「愛されちゃって,マフィア」(ジョナサン・デミ監督)を今度はビスタサイズのDVDで観ました。本編が始まるまでのシーンと終わってからのエンド・クレジットで流れる使わなかったフィルムを元にしたのではないかと思うようなシーンのことはすっかり忘れていました。
さて,肝心なミシェル・ファイファーですが,化粧や髪型があまりにもケバケバし過ぎますね。特に,この映画に出て来る女性達は彼女を含めてものすごく大きなイヤリングをしているのがすごく不自然に感じてしまいます。その上,彼女も芸風を変えようとしていた過渡期なのでしょうか,コメディっぽい演技も中途半端ですし,そもそもニコニコし過ぎですし。
一方,共演の男優さんは,ミシェルに比べて少し若く見え過ぎです。それにミシェルに比べてえらく軽く見えますし。
ということで,私みたいに美しく魅力的なミシェルを見たいという人にはあまり向いていない映画だと思います。もっとも,話の方はまあまあですが。
(242)地獄の黙示録[フランシス・コッポラ監督](DVD)
以前に VHDにて画面がTVサイズで観た「地獄の黙示録」(フランシス・コッポラ監督)を
DVDが出たのでシネスコサイズで観ました。
感想ですが,やはり,結構,覚えていないところがありますねえ。特に,最初の安ホテルだかの場面の大部分は完全に忘れていました。この映画は戦争の狂気を描いた前半と画面が霧でつつまれたようになると共に内容もわけがわからなくなる後半とに分けられますが,まあ,私にとっては,後半はわざわざ観るに値しない代物ですね。
ということで,前半ですが,やはり,旧騎兵隊のヘリコプター部隊の隊長がすごいですね。死にかかった敵に自分の水筒の水を上げようとするが,そこにサーフィンの名手が来ると,それをすぐに忘れてしまうとか,戦場のすぐそばでサーフィンをやろうとするとか,勿論,ヘリコプターからワルキューレの音楽を流すところもすごいですが。後は,勿論,プレイメイト3人が来てショーをやる場面,彼女らの言動もすごいが,兵士達の熱狂もすごいです。また,最前線の戦いの虚無さ等,全てが戦争の狂気を描いていて素晴らしいです。
こういうのを観ると,あの米国人の中には,戦争が嫌いな人もいるのかと妙に納得してしまいます。
それにしても,現時点からベトナム戦争を見てみると,共産主義を信じて死んでいった人達は一体何だったのだと思ってしまいます。南ベトナムを共産化したのは北ベトナムだったというのは今や明白になってしまいましたし,その統一ベトナムは共産主義,正確にいえば,独裁主義でしょうが,それから外れて,資本主義に移行しようとしていますし(もっとも,それは経済的にの話で,政治的には独裁の一種なのでしょうか)。結局のところ,人の欲望は共産主義といえど,押さえておくことはできないということでしょうね。
(243)黄金の七人[マルコ・ビカリオ監督](VHD)
VHDにて,「黄金の七人」(マルコ・ビカリオ監督)を観ました。この映画,VHDで出た後は,マイナーな会社からVHSで出ましたが,結局,LDでは出なかったし,勿論,DVDでも今のところ出ていません。こんな面白い映画をなぜ出さないのか,各メーカーの担当者の能力を疑ってしまいます。
ということで,本日観た感想ですが,やはり,面白いですねえ!! この映画は,最近の米国製映画と異なり,その軽さがいいです。もし,これと同じものをハリウッドで作れば,陰険でどうしょうもないでしょうね。
この映画が上映された後,実際にこれと同じようなやり方で銀行強盗があったそうですが,この映画も全く感心するほどの手口です。
さて,この映画では紅一点でロッサナ・ポデスタが出演していますが,確かに,曲線は豊かですし,色っぽいのですが,今の目で見ると,ものすごくどぎついです。今のナチュラル化粧流行の状態でしたら,とても受け入れられないものですね。まあ,確かに,当時の女優さん,ブルジット・バルドーやソフィア・ローレンもどぎつい化粧でしたが,それでも,ロッサナ程ではないと思います。
ということで,この映画,ぜひ,新しいテレシネにて, DVD化して欲しいものです。
(244)ザナドウ[オロバート・グリーンワルド監督](LD)
家を引っ越しして以来使っていたシャープの液晶プロジェクターの画面に青い縦線が1本入るようになってしまい,ここ半年位,TVの小さな画面でビデオソフトを観ていたのですが,ようやっと,三菱電気の140万画素のものを入手したので,久しぶりに90インチ画面でビデオソフトを観ました。いや,やはり,映画類は最低でもこの位の大きさの画面で観る方がよいとつくづく感じました。
ということで,私の好きな歌手の1人だったオリビア・ニュートン・ジョンが出演している「ザナドウ」(オロバート・グリーンワルド監督)を第1回目として観たのですが,結構,冗長なところが目立ちます。すなわち,この映画の中には踊りの場面が幾つかあるのですが,それがあまりに長過ぎです。ともかく,観ていていいかげんに終えてくれと言いたくなります。これを半分位の長さにすれば,映画全体が引きしまって今よりは遥かに良くなると思います。また,アニメ部も不要ですね。こんあ場面を作るのであれば,実写にすべきでした。
さて,肝心のオリビアですが,私が観た彼女の出演作3本の中では,やはり,これが一番ですね。特に,前半に着ている肩を半分出した装飾の多い薄物のピンク色のワンンピース姿や両肩を出した緑色のワンピース姿の彼女はバツグンに魅力的です(スケートをするせいもあって,スカートには深いスリットが入っていますし)。また,この姿だと,髪型のせいもあって,ほとんど歳を感じさせませんし。
一方,普通の服を着ている場面の彼女は良くないですね。特に,最悪なのは最後の所での「サナドウ」でのコンサート場面。着ている服の趣味は最低。全く彼女に似合う感じがしません。その上,「ザナドウ」以外の歌もあまりいいとは言えませんし。この場面,出だしの多人数でのスケート場面からすごい迫力と盛り上がりなのですが,彼女の歌が出て来ると急にテンションが落ちてしまうという感じです。折角の盛り上りが「水の泡」といった感じですね。
また,彼女の透明な声の歌では,天国(?)での歌の場面が最高です。この場面での彼女の歌は何回も聴きたいです。場面的には,録音スタジオでの室内に景色を映してのスケートで滑るシーンが最高ですね。
ということで,この映画,冗長な踊りの部分をカットすれば名作になったのにと思うのですが,元々はオリビア・ファンのためのアイドル映画でしょうから,これでいいのかもしれません。でも後,20分位を削除するか,別なシーンを加えたらと思ってしまうのも事実です。
(245)危険がいっぱい[ルネ・クレマン監督](DVD)
レコード店にて,ジャケットの裏のランジェリー姿のセクシーなジェーン・フォンダの写真が気にいって購入したDVD「危険がいっぱい」(ルネ・クレマン監督)を早速観ました。この映画,私は全く題名さえも聞いたことが無かったのですが,ジェーンが「輪舞」に出演した頃,すなわち,ロジェ・ヴァルム監督と結婚する直前の出演作なのですね。
さて,感想ですが,前半の彼女は「ううん」という感じでしたが,後半になって急によくなってきました。特に,ジャケット写真のランジェリー姿の場面やセクシーなドレス姿が抜群で,この場面だけでもこの映画を観る価値がありますね。それにしても,彼女に迫られて断ってしまうアラン・ドロン演じる主人公は一体何を考えているのかと思います。ううん,それとも,年増好みという設定かあるいは金のために取り入るという設定なのでしょうか。あ,考えてみれば,ジゴロみたいなところがある設定なので,おそらく,後者なのでしょうね。
後味がよくない映画ですが,背景に流れる音楽も素晴らしいですし,後半のジェーンには大満足でしたが,私としては,もう少し楽しい内容の映画だったら,コメディだったらと思ってしまいました。
(246)ファール・プレイ[コリン・ビギンズ監督](LD)
久しぶりに,LDにてゴールディ・ホーンの出演作の「ファール・プレイ」(コリン・ビギンズ監督)を観ました。
いや,面白いですねえ!! 息もつかせぬ展開で,やはり,この映画,彼女の出演作の最高傑作だという気がします。前半のヒッチコックばりの展開,すなわち,ゴーレディが見つけた死体が次々と消えて行く場面,また,大蛇が出て来るところのシーン,図書館での対決,そして,それらに付属するドキドキする音楽,また,映画館の中での彼女と男との会話の面白さ,小人の出現等,弛緩する所もなく,シナリオが実によくできています。
一方,後半は彼女の姿態の魅力ですね。あの青色のマリリン・モンロー風の背中丸出し,胸も半分見えるドレス姿の彼女の可愛らしさが実にいいです。その上,エキゾチックな「喜歌劇:ミカド」の音楽を背景とした暗殺者達との対決,次々と事故が起こるカー・チェイス,奇妙なカウ・ボーイや日本人老夫婦(これ,変な日本語をしゃべっているところをみると,中国人系の俳優が演じているのでしょうね)との車内での会話,更に前半から出ている奇妙な指揮者(これって,ナターシャ・キンスキーの出演作「殺したい程愛されて」との続きという設定なのでしょうか)等,こちらも素晴らしい展開です。
さて,肝心のゴールディ・ホーンですが,ともかく,彼女が若いこと,若いこと!! 彼女は年齢をあまり感じさせない女優さんと思っていましたが,この映画を観ると,やはり,近年の「世界中がアイ・ラブ・ユー」とは異なり,ピチピチとしていますね。この彼女を見て,恋さない男はいないのではと思う程です。
ともかく,彼女の出演作では,まず第一に推したい映画ですし,数ある映画の中でも,観て楽しむというのでしたら,1番目に推したい映画ですね。
(247)エア・アメリカ[ロジャー・スポティスウッド監督](LD)
LDにて,「エア・アメリカ」(ロジャー・スポティスウッド監督)を観ました。この映画,一連のベトナム戦争物の1つですが,場所がベトナムではなくラオスが舞台となっています。すなわち,米国がラオスで秘密裏に民間航空会社を作り,兵隊のほか,物資も運送しているというもので,主役はその飛行機のパイロット達とそれに群がる麻薬取り引きで汚染されている軍部というわけです。
ううん,見たことがある顔の俳優さんが主役だと思っていたら,何と,それはメル・ギブソンでした。彼はこんな映画にも出演していたのですね。
ということで感想ですが,「アメリカの映画」という感じですねえ!! すなわち,アジアの民衆の視点からはほとんど描かれておらず,自分達の都合の良いことだけを選んで作ったという感じです。ですから,民衆が困っていることなんかはほとんど描かれていないません(もっとも,これは舞台がベトナムではなくライスだからかもしれません)。そして,そこにいる米国人達は民衆から全く浮いた存在となっています。
また,出て来る米国女もひどいです。ボランティアと称していますが,要するに米国人というのは,ピストルで人を撃って,そして病院につれていくという思考の連中ですから(その典型的な例が,最近ではハワイ沖の潜水艦による漁船撃沈事件ですね。また,「地獄の黙示禄」にもそういうシーンが描かれていました),何か,観ているとしらけてきてしまいます。特に,あの女に身勝手さには腹がたって仕方がないですね。まあ,白人女ってあんなものだとは思いますが,それでも,ミル・ギブソンが可哀想になってしまうのも事実です。
(248)から騒ぎ[ケネス・ブラナー監督](LD)
液晶プロジェクターを交換してから,昔,購入したものを何回目かわかりませんが,観ています。その1つとして,LDにて「から騒ぎ」(ケネス・ブラナー監督)を観ました。
いや,やはり,この映画,ダイナミックなシーンが多いですので大画面だと,その良さがよくわかりますね。特に,冒頭の馬が駆けるシーンや,男女が草原から城まで走って行くシーンのダイナミックさは,画面が大きくないとその迫力がでないと思います。私は90インチ画面ですが,本当は
200インチ位の画面で観たいですね。
それにしても,エマ・トンプソンやケネス・ブラナーの台詞回しの素晴らしさ,その演技と共に特筆もので,ともかく聴いていてほれぼれしてしまいます。一方,ヒーロー役のケイト・ベッキンセールは若さの勝利ですね。これだけハツラツとしている女優さんも珍しいのではないでしょうか。一方,これはと思うのが,デンゼル・ワシントン,いくら,黒人も映画の中に入れなくてはいけなくても,「オセロ」ではないのですから,黒人を行ける必要なんて全くないと思うのですが。ともかく,この部分,ものすごい違和感です。
それにしても,ケネス・ブラナーの監督作や出演作って結構観ているような気がしますが,演技と内容,そして,ある程度の若さから言って,この映画が一番という感じがします。それと,全編を流れる音楽もいいですし,最後の踊りの場面は若さが爆発しているという感じです。
(249)素肌の涙[ティム・ロス監督](DVD)
映画館で観て,「ううん」と思った「素肌の涙」(ティム・ロス監督)を DVDで観ました。なるほど,この映画,人の孤独,生きる哀しみを表現したものであったかと,映画館で観た時とは異なった感想を持ちました。確かにそう考えてみますと,荒涼とした海岸での冬の景色,背景を流れる寂しげな音楽といった理由がわかります。
それにしても,この太った嘘つきの変態親父には全く頭にきますね。この映画の監督をやっているティム・ロスといえば,あの「宮廷料理人ヴォルテール」にて,ものすごく気持ち悪い人間が出て来たと思っていたら,後で彼が演じていたことを知りましたが,この映画を観ると,なるほど彼が監督したら,このように気持ちが悪い映画というか,あのような変態親父が出て来る映画を監督した理由が納得できます。
それにしても,この荒涼とした景色の描き方,波の花が飛んで行く様子や,灰色の海は実に素晴らしいです。また,終わりのシーン,映画館で観た時は,あのコンクリート製の建物の鉄の扉を閉めて,2人が閉じ籠ってしまうというシーンの意味は,姉弟が結ばれるということを意味していると解釈しましたが,今回はそうではなくて,単に外界と遮断するということだけを意味しているのではと思いました。扉を閉めて,2人がぼうっと座っているというところなのでしょうか。すなわち,この後の展開は無いというのが正しいような気がします。
ところで,この映画の原題を見ると,「The War Zone」ですね。ううん,すると,単純に父と息子の争いを描いた映画というのが正解なのかもしれません。
(250)アンナ・パバロワ[エミール・ロチノウ監督](VHS)
先日,新宿のタワーレコードに行ったら,輸入VHS でしたが,「アンナ・パバロワ」(エミール・ロチノウ監督)があったので,早速,観ました。
この映画,私は初めて観る上に,日本語字幕無しの米語だけですので,荒筋しかわかりませんでしたが,全体から言えば,彼女の生涯(といっても,死ぬまでではなく,中年になるまでですが)を淡々と述べているという感じです。その中のエピソードで感心したのはやはりバレエシーンで,ううん,当時のバレエって,古典といってもこんなにモダンであったのかということです(勿論,この映画がどれだけ彼女の踊りを再現しているのか不明ですが)。ともかく,踊り,舞台装置,衣装,照明の斬新さには感嘆してしまいました。
後は,彼女の着ている服ですね。特に,帽子はパリ風の装飾過多なものですので,ここらへんもよく似合っていますし。
逆に意外に思ったのは,「瀕死の白鳥」のシーンで,マヤ・プリセツカの映像だとすごく優雅な感じですが(これ,LDで出ていました),こちらは,音楽を含めて非常に荒々しいもので,そのあまりに違いに驚きました。慣れの面もあるでしょうが,もし,このようなオーケストレーションで踊っていたのであれば,マヤ・プリセツカの方が遥かに私の趣味でした。それにしても,ロシアの内乱から生まれた「瀕死の白鳥」というテーマは,実際はどうであれ,よく考えられていると思います。
ということで,全体的にはもう少し盛り上りがあればと思いましたが,それでも,英国の自宅の庭でのエピソード(白いワンピースで裸足で芝生を歩いています)や,劇場でのシーン等,中々,興味深い映画でした。
(151)新レディドール2[アル・ブラッドレイ監督](LD)
LDにて,新レディドール(アル・ブラッドレイ監督)を観ました。このシリーズは,フローレンス・ゲランの出演している映画を適当に集めて,販売会社が勝手にシリーズ化しているようで,原題は「Gianluca e Stefano Curti」というようです。
この映画,どうやら,サンフランシスコを想定しているようで,基本的にはそこの巣食う金持ち達の退廃を描いているようです。この映画の中で,もっとも魅力的な場面は,最初の方で,フローレンスが真っ赤なブラジャーと超ミニスカート姿で夜の街をさっそうと歩いているところです。このシーンだけでも彼女の魅力がよくわかります。一方,あまりよくないのは,彼女が売れッ子モデルという設定で,広告の撮影シーンが幾つかあるのですが,ここでの彼女は何て嫌な女なんだろうと思わさせます(ううん,ここらへんは,異人の場合は当たり前というのかもしれませんが)。
それにしても,いくら兄を殺した相手を探す為に,変態専門のフッカーになるという設定は無理があるとは思いますが,それでも,フォローレンスの魅力でそこらへんは打ち消されてしまいますね。
(252)グッドナイト・ムーン[クリス・コロンバス監督](DVD)
以前,映画館で観た「グッドナイト・ムーン」(クリス・コロンバス監督)の
DVDを購入したのですが,この映画,涙,涙の映画なので,観ないで放っておいたのをようやっと観ました。
ううん,やはり,涙,涙です。この映画,子供の将来に対する死に行く母親の愛がヒシヒシと心に迫ってくるので,やはり,涙無しには観れませんね。
ジュリア・ロバーツは自分の歳の倍位で,2人の子供がいる男と結婚し継母になる役を演じているのですが,中々よく演じています。一方,スーザン・サランドンも歳相応ですし,病気にかかっている顔もそれらしいですね。でも,さすがに,ジュリア・ロバーツがカメラマンというのは,あまりに軽すぎてちょっという感じです。ちなみに彼女が使っているのは,ニコンの一眼レフと同じくデジカメとなっています。
なお,背景の紅葉・黄葉の秋の風景が美しいです(これって,やはり,人生の秋,死ということを象徴しているのでしょうね)。
(253)サンロペの夏[ディヴィット・ハミルトン監督](VHD)
ディヴィット・ハミルトン監督の「サンロペの夏」(VHD) を観たのは半年ぶりでしたが,使っている液晶プロジェクターの画素数が以前と比較して約5倍になったせいか,すごく繊細に感じるようになりました。勿論,内容的には以前と変わらないのですが。
この映画は少女期のはかなさ,うつろいやすさを描いたものだと思いますが,ハミルトン監督による「ビリティス」や他の1本と比較して遥かに素晴らしいできで,これが未だに
DVD化されていないとは,一体販売会社は何を考えているのかと思ってしまいます(確か,LD化もされなかったと思います)。
ともかく,映像自体はハミルトン独特のソフトフォーカスのものですが,それでも細部は見られないわけではありませんし,また,話も会話がない(一部,少女達の声も聞こえますが,それが実に効果的です)ものですが(その代わりに音楽が流れています),それでも一応,筋はあり,最後は集団で夏を過ごしている少女達(途中で,バレエの練習シーンがあるところをみると,バレエ学校の生徒達という設定なのでしょうか)の1人が結婚するというもので,これが少女期の終わりを指しているのでしょう。それにしても,映画の中のようなシーンは実際にはなく,本当はもっと生々しいものでしょうが,それでも,これはやはり,男から観た少女達へのあこがれといったものでしょう。
(254)ディック・トレイシー[ウォーレン・ベッティ監督](DVD)
LDにて,マドンナの出演作「ディック・トレイシー」(ウォーレン・ベッティ監督)を観ました。このLD,確か,購入時に観た覚えがありますが,その後,観た記憶がないので,多分,今回が2回目ではないかと思います。
今回,観て感心したのは,主人公達の顔以外は,アメリカン・コミックそのものといった味を出していることです。元々,この話自体はアメリカン・コミックを映画化したものらしいですので,悪人は全員悪人面しているので,観ていてどれが悪者なのかよくわかるところがいいですが,やはり,2回目ですので,最後の方の驚きは無くなっています。
それと,刑事役が実に格好がいいのですね。正しくアメリカン・コミックそのものという感じがします。つば広帽の背広姿は勿論,黄色のレインコートも実によく似合っていますし。それと,マドンナがギャングの女っぽい濃厚なセクシーさを見せていて,これまた,実にいいですし。まあ,容姿的に多少,問題なのは,主人公の愛人の女性位でしょうか(勿論,善良な女性という役ですので,これはこれでいいのかもしれません)。
また,風景がこれまた,素晴らしいです。どうやって撮ったのかよくわかりませんが,町が原色となっていて,正しくコミックの世界になっています。
ということで,また,観てもいい映画だと思います。
(255)ティン・カップ[ロン・シェルトン監督](DVD)
以前,映画館で観て中々良かったと思ったルネ・ロッソ出演作の「ティン・カップ」(ロン・シェルトン監督)のDVDは買ってから2年間位観ないまま放っておいたのですが(その間に3400円から2000円に下がってしまいましたし),ようやっと,観る決心がついて観ました。
さて,感想ですが,ケビン・コスナー出演の作品にしては楽しめるものですね。彼の映画って,彼の顔みたく額に皺を付けて観なければいけないような気がして,中々観る気が起きないのですが,この映画はかなり毛色が異なるのでいいですね。
しかしながら,ゴルフ大会での最後の場面,あれ,どうにかならなかったのですかねえ。映画館の時もあの場面には失望の声が上がりましたし,最後のショットのホール・イン・ワンだけにすれば,ウワーッと盛り上がって,映画を観た満足感が広がると思うのですが。「メッセージ・イン・ナ・ボトル」の時もそうですが,観客は夢を楽しみに来るのですから,観客に不満を与える映画はやはり失敗と考えるべきでしょう。
肝心のルネ・ロッソですが,この映画,彼女が美しかった時の終わりの方の出演作ですが,それでも,薄着の時は曲線が美しいので,すごく魅力的です。特に紫色のTシャツ姿の時が最高ですね。豪奢な金髪も映えていますし。それにしても,この映画の彼女は「お化粧バッチリ」という感じですねえ。もう少し,ナチュラル化粧にしてもいいと思うのですが,これがその映画の設定なのでしょうか。
ということで,話がもう少し変わっていれば名作だったにと思う映画でした。
(256)殺意の夏[ジャンン・ベッケル監督](DVD)
随分前に購入し,観ようとしてあまりの暗さに途中で挫折してしまった「殺意の夏」(ジャンン・ベッケル監督)のDVDをようやっと観ました。ううん,やはり暗いですねえ。余程,また,止めようかと思いましたが,ようやっと,我慢して観ました。
ううん,この映画の最大の欠点は,肝心なイザベラ・アジャーニがブスなことですね。それと,主人公の男もひどいですし。勿論,彼女が着ているセンスの悪い服と髪型も全く私の趣味ではありませんし(ただし,この映画に似合っていることは間違いありません)。でも,前半の腰をふる歩き方はすごいですね。モンロー・ウォークよりもっとすごいのではないでしょうか。それと,彼女がむやみやたらに脱ぎまくりますので,そこらへんもですが。後は,彼女の顔が妙にエキゾチックなことに気がつきました。もしかして,彼女は,白人以外との混血なのでしょうか。
それにしても,この映画,1984年製作ですので彼女が29歳の時のものですが,主人公の20歳位にしか見えませんね。でも,その後の1988年の「カミーユ・クローデル」での美しさにはおよびもつきません(この映画を観た後で,思わず「カミーユ・クローデル」のLDを取り出し,飛ばし観をしてしまいました)。彼女が一番良かったのは,最後に近いの場面,すなわち,彼女がもっとも得意とする気が狂った場面だと思います。
一方,話自体はわかりにくいところがありますが(なぜ,彼女の母親が,彼女のやりたい放題にさせているのか,義理の父親がなぜ,病気になっているのか,そこらへんはどうも納得できる説明になっていなかったと思います),全体から言えば,思ったよりは良かったと思いますし,また,最後は衝撃的だったと思います。
(257)アリス[ウディ・アレン監督](TV)
深夜TVで放映していた「アリス」(ウディ・アレン監督)を録画して観ました。ウディ・アレン監督の新作が近々上映されるために(注:これを書いた頃のことで、現在は上映中です)旧作を放映して宣伝に努めるということでしょうか。
さて、感想はというと、「ううん」というか、全く私の趣味ではない内容ですね。特に、ミア・ファロー演じる人妻は同情の余地無しという役どころですし。それにしても、私は彼女の出演作って、「ハンナとその姉妹」以外、あまり観たことがありませんが、この映画でのあの甘ったるいしゃべり方は私にはとうていついていけない感じです。同じように甘ったるいしゃべる方でも、メラニー・グリフィスだったら魅力的に感じるのですが、ミア・ファローだと逆に何をカマトトぶっているのかと思ってしまいます。
それと、あまりに現実的ではない設定、すなわち、透明人間になって色々なことを知るというのもどうかと思いますし。そもそも、中国人の与えた薬により不倫をすることを含めた色々なことを知るというのは、中国人を神秘的に考えているというよりは、人種差別的な感じがしますし。それと麻薬の話も出てきますし。
ということで、先日は映画館で「ギター弾きの恋」を観ましたが、これも含めて、私が観た数本のアレン監督の映画の中では、やはり、マリエル・ヘミングウェイが出演している「マンハッタン」が一番という感じがします。
(258)カストラート[ジェラール・コルビオ監督](DVD)
DVDにて「カストラート」(ジェラール・コルビオ監督)を久しぶりに観ました。この映画は,有名なカストラートで後には首相にもなったファリネッリを描いたものですが,ファリネッリの生涯というより,兄弟の相克を描いたものといった方がよいと思います。
また,当時の音楽界の様子を描いていますので,実在の有名作曲家のヘンデルなんて出て来ますし,それよりももっと面白いのが,当時は音楽を聴くというより技巧を聴くというのに重きが置かれていたことがよく描かれています。というわけで,ファリネッリが歌う大部分はひどい代物で,よくもこんなものが今まで残っていたと感心するほど,技巧しか感じられない音楽です。ということで,そういうのを聴いた後で,ヘンデルの曲を聴くと,ヘンデルはやはり偉大だったのだなあと思ってしまいます。
一方,ファリネッリはカストラートですので,女性ソプラノのような声で歌うわけですが,現在ではこの手の人はいませんので,女性ソプラノを基本的に使い,低音部はテノールとして,これらを合成して歌にしているようです。しかしながら,これはカストラートの声と結構違うようです。「最後のカストラート」と後日呼ばれるようになったモレツキという名前のカストラートは1902年と1904年に合わせてCD1枚分となる量の歌を録音しました。これは現在はCDに復刻され,聴くことができますが,その力強い声とこの映画の声を比較すると,映画の中での声はまるで裏声みたく聞こえる弱々しい感じのものです。実在のカストラートはイメージ的には「孔雀の鳴き声」といった感じのものです。
さて,映画でも描かれているファリネッリのコンサートで,女性が失神しますが,当時の女性というのは,高い声に弱かったみたいで,これはもしかして,今でもテノールの高い声にしびれる女性がいるのと同じ現象かもしれません。
この映画で気になることは,構成のかなりの部分が,まるで,ポルノではないかと思う描写となっていることです。こんなシーンは全て削除して,もっと,音楽の方に力を入れてくれた方が余程いいですね。
ということで,カストラートに興味がある人やポルノ映画に興味がある人はともかく,全体からいえば,わざわざ観る必要がある映画とは思えない種類のものだと思います。
(259)レッド・オクトーバーを追え[ジョン・ティーレマン](DVD)
以前はLDで観た「レッド・オクトーバーを追え」(ジョン・ティーレマン監督)を
DVDで観ました。
ううん,やはり面白いです。私が映画館で観た唯一の潜水艦映画「U571」と比較すると,やはりこちらの方が遥かに傑作ですね。それと,圧倒的にいいのは音楽で,この合唱入りの勇壮な音楽は画面の効果を更に高めています。また,俳優さんもこちらの方が遥かによくて,艦長役のショーン・コネリーの重厚な演技とアレック・ボードウィンのやや軽めな演技がいい対称をなしています。
一方,ちょっとと思ったのが,ロシアの潜水艦の中の会話で,最初はロシア語で米語の字幕スーパーだったのが,すぐに米語になってしまうのですから(まあ,米国人は文字が読めない人が多くて,字幕スーパー嫌いなのかも),これはかなり違和感でした。
それにしても,この原作のトム・クランシーの小説も読んでいますが,この映画,よく小説の筋をこなしており,小説も映画も傑作という極めて珍しい例だと思います。しかしながら,映画の中だと,艦長の亡命の意図はよくわかるのですが,仕官達の動機はさっぱりわかりませんね。というか,何か,亡命に反対している人ばかりという感じで,ひどく変に思えました。
(260)エマ[ジョン・グレニスター監督](DVD)
正月にNHK-TVにて放送された英国 BBC放送製作による「エマ」(ジョン・グレニスター監督)のDVDが出たので,早速,観ました。 NHKの方は2ケ国語放送だったので,当然,英語のみで観ましたが,やはり,英語の理解力がない私には,字幕スーパーだと安心して観られます。
ということで,感想ですが,基本的にはやはり,TVで観た時と変わりません。すなわち,やはり,主人公のエマ役の女優さん,ちょっと,歳とり過ぎではないかと思ってしまいます。勿論,演技は達者なんことは認めますが。
「エマ」といえば,私がまず思い出すのは若い頃のグゥイネス・パルトロウがエマを演じている映画「エマ」(ダグラス・マクグラス監督)です。私にとってはこの映画と原作のジェーン・オースティンの小説の和訳が基本となっていますので,どうしてもその目で,他の監督による映画を観てしまいます。ということで,まず,俳優さん達ですが,全体から言えば,映画の方が圧倒的に優れています。エマ役は勿論ですが,ナイトリー役は
BBCの方では全く品を感じさせない役者さんですし,あまりに中年男過ぎますね。フランク・チャーチル役も映画の方が圧倒的にいいですし,後は,ウェスタン夫人も何といっても映画の方はグレタ・スカッキですので当たり前ですが,こちらの方が圧倒的にいいです。逆に,エマの父親役はどちらも個性があっていいですね。そして,唯一,BBCの方がいいと思うのがハリエット役の女優さんですね。映画の方は太り気味で,さっぱり魅力が感じられません。
映画と BBCの大きな違いは,映画の方はその「軽さ」です。内容もそうなのですが,まず,感じるのは女性の衣装で,BBCの方は肌をかなり隠した厚い感じの,そして,地味な色の野暮ったいものですが,映画の方は冬でも夏のドレスではないかと思うような薄手の洗練されているものです。勿論,BBCの方が時代考証的には正しいのだと思いますが。ともかく,衣装に代表されるように,話自体も映画の方が遥かに軽く感じます。
一方,小説と比較した忠実性ですが,これは勿論, BBCの方が圧倒的に忠実だと思います。特に,エマの父親役の設定は,映画の方は小説とかなり異なります。また,映画の方は2時間1分,BBCの方は4時間16分ですので,勿論,
BBCの方が忠実ですし,小説のかなりの部分を反映しているとおもいます。
以上,結論からいうと,私は映画の「軽さ」の方が好きですが,役者さんのことを気にしなければ,小説の忠実性という点から
BBCの方も中々だと思います。
追記
上記の感想は完全に勘違いしています。というのは,「エマ」には映画,正月にNHK-TVで放映されたもの(英国の民放のもの?),BBC放送のものをDVD化したものの3種類あり,正月にNHK-TVで放映されたものと,DVDで出たBBC放送のものを同じものだと信じ切っていたというわけです。